石垣悟准教授に聞く「新しい生活様式でワンプレートおせち」

新しい生活様式のおせちについて、民俗学を専攻している東京家政学院大学の石垣悟准教授に話を聞きました。

公開日:2020/12/27 250 view

おせち料理は重箱に入ったものを囲むイメージですが、来年の正月は各自取り分ける等の配慮が必要となり、〝ワンプレートおせち〞が主流になりそうです。〝新しい生活様式〞でのおせちについて、東京家政学院大学で民俗学を専攻している石垣悟准教授に話を聞きました。

お供えから縁起ものに

おせちは「御節供(おせちく)」の略。おせち料理は、神をまつる日に供える食べ物を意味していました。

重箱に詰めたのは神に供えるためで「最初から各自の小皿に取り分けても間違いではありません」と石垣さん。江戸時代初めに、正月に特別な飾りを作って神への供物として床の間等に飾る「食い積み」等と呼ばれる風習が誕生。三宝に飾った松竹梅の周囲に盛り付けた米やミカン、伊勢海老等縁起の良い食べ物を年始客に振る舞いました。

時代が下ると、料理だけを御膳や重箱で床の間に供え、おさがりを家族で分け合って食べ、家内安全や無病息災等を祈願するように。

江戸時代後期には、大株(金持ち)になれるようにとカブの酢の物や紅白で縁起がよい彩りにと大根と人参のなますの酢の物。〝まめ(元気に・勤勉に)〞に暮らせるようにと黒豆・煮豆、先を見通せるようにとレンコンの煮物、〝よろこぶ〞に通じる昆布巻。〝めでたい〞に通じる縁起もののタイの焼物、子孫繁栄や子宝に恵まれるようにと数の子等、語呂合わせや見栄えから好まれる縁起のいい定番の品が登場。各家庭で作られていたおせち料理は、煮物や焼き物、酢の物等、比較的日持ちのするものでメニューや味が各家で異なっていました。
女性達が炊事をせずに休めるよう、正月三が日に食べ続けるためとされています。

最近では中華風や洋風等も見られますが、そもそも品目に決まりはなく「縁起のよいおせちメニューを各家庭で工夫して作り、正月三が日くらい家で食べながらまったりと過ごしては」と話します。

来年の正月は、それぞれの皿に好きなものを好きなように盛り付ける〝ワンプレートおせち〞を楽しんでみては。

東京家政学院大学 現代生活学部准教授
石垣悟さんプロフィール
専門は民俗学、博物館学、文化財保護論。博物館学芸員や文化庁文化財調査官を経て2019年から現職。編著書に吉川弘文館『日本の食文化』等。
東京家政学院大学 
住所/千代田区三番町22

トップに戻る