想像力育む“語り聴かせ” 病にまつわる話をCD化
高尾山とんとんむかし語り部の会

八王子には、古くから語り継がれてきた昔話や伝説があるのをご存じでしょうか?
千話以上あるという八王子の昔話や伝説を、“武州弁”で語り継ぐ活動をしているのは、高尾山とんとんむかし語り部の会。
なじみのある場所を舞台に、独特の口調で繰り広げられる昔話は、大人も子供も夢中になれると好評です。

語り部育成、26人に40 歳代〜80歳代が活躍
同会は、八王子で活動していた民俗学者の故・菊地正さん(2006年没)が設立。
菊地さんが聞き集めた八王子の昔話・伝説の〝語り部〞を育成し、後世に伝承することを主な目的に、2002年から活動しています。
現在、語り部として活躍しているのは、40歳代〜80歳代の26人。
「語り部になるには、話を暗記するのではなく、頭の中でストーリーを映像にするのがコツ。そうすることで、自然に感情や抑揚が生まれます」と教えてくれたのは、会長の佐々木希一さん。
会では、より魅力的な語り部になるために、歴史的背景を調べたり、実際に話の舞台となっている場所に足を運んだり、実際に肌で感じることを大切にしています。
月に一度、練習日も設けており、「とんとんむかし」(遠い遠いむかし)、「〜じゃと」(〜だった)、「へい、しまい」(はい、おしまい)など、かつて八王子で使われていた武州弁の練習にも余念がありません。

学校などへ出前語り子供の想像力も養う
会のもう一つの使命は、昔話を語り継ぐこと。
イベントなどで実演するほか、ボランティアで保育園や小学校などへ出向き、昔話を披露する〝出前語り〞も実施。
出前語りは人気で、月20カ所以上で実施したこともあるそうです。
「テレビやインターネットの動画など映像を見ることに慣れている現代の子供たちですが、〝語り〞だけでも集中して耳を傾けてくれます。語り聴かせは想像力を養う効果もあり、『聞いただけなのに、絵が浮かんだよ』など目を輝かせる姿がうれしく、これがまた語り部を育ててくれています」と。

コロナに負けない!ラジオやCDで語り継ぎ
しかし、新型コロナ感染症の影響を受け、イベントや出前語りなどの対面での語り聴かせの機会は相次いで中止に。
語り部の活動を止めてしまわないようにとこの夏、初のCD化を試みました。
話は、菊地さんの著書である『とんとんむかし十二か月』(東京新聞出版局)から、『コロリ追い払い』など疫病にまつわる話を10話収録。
希望があれば、実費で分けることも可能とのこと。
「コロナ禍では、直にお話を届ける機会が少なくなってしまいましたが、コミュニティラジオ八王子エフエムで『八王子とんとん昔語り』を放送していますので、ぜひ、楽しんでください」と。
問い合わせ
佐々木さん
電話/090-8851-3515
同会後援:ラジオ番組「八王子とんとん昔語り」
TokyoStarRadio(77.5MHz)
月~金曜の午後5時~5時10分の10分間
毎月5話をお届け(2~5週目は再放送)