東京薬科大学は、震災などの災害発生時において医薬品を調剤し、被災者に提供できる「災害対策医薬品供給車両」(通称=モバイルファーマシー)を2019年10月に導入しました。
八王子市、八王子薬剤師会と連携協定を締結し、災害時だけでなく平時には教育現場や地域防災などに活用されます。

調剤室の機能を車に装備
モバイルファーマシーはキャンピングカーを改造した車両で、ポータブル発電機、太陽光パネル、洗浄水タンクや、薬剤師が宿泊できるベッドなどを搭載。
車内には300種類の医薬品が収納できる調剤棚や散剤・錠剤分包機、電子てんびん、薬品冷蔵庫などを備え、電力や水の途絶えた被災地でも自立的に調剤作業と医薬品の交付ができます。

また自家発電ができ、コンセントもあるので電源として活用することも可能です。
国内15台目、都内では初導入
被災地に素早く駆け付け、医師と薬剤師とが連携して医薬品を必要とする人たちへ供給が可能なこの車両は、東日本大震災をきっかけに宮城県薬剤師会が考案・開発。

全国各地の薬剤師会で導入が進められ、熊本地震の被災地で初めて活用されるなど救護活動に成果を上げています。
東京薬科大学は全国で15台目、都内では初の導入となります。

教育現場、地域での活用も
同大学では、2年次のカリキュラムに「災害薬学論」を設けており、災害時における薬剤師の役割を学ぶ目的でモバイルファーマシーを用いたゼミナールを実施。
災害時だけでなく、学生教育や防災イベント等、平時での活用が期待されます。
「今後は学生ボランティア団体との連携や、地域の防災、教育現場への啓発活動に力を入れ、社会・地域貢献にも役立てていきたい」と、学校薬剤師で同大学役員の松本有右さんは話しています。