町田市には、1000カ所以上の遺跡があり、特に縄文時代の発掘資料は全国でも有数の質と量を誇ります。
その中の一つ、1968年に発見された田端遺跡の田端環状積石遺構は、都内では唯一見学できる縄文時代のストーンサークルとされています。
夏休みの自由研究に見学してみては。遺構写真は東京都町田市教育委員会提供。

町田市小山町や他にある田端環状積石遺構は、旧石器時代〜近世の遺跡である田端遺跡に含まれる遺構で、周辺約2000平方㍍が都指定史跡になっています。
1968年、ゴボウをつくるため溝掘りをしていた耕作者が偶然発見した石の塊をきっかけに、國學院大學大場磐雄教授監修のもと、考古学者の浅川利一さんが発掘調査を実施。
その結果、縄文時代後期〜晩期(3500〜2800年前)の30基の墓からなる集団墓地と、祭祀(さいし)場と考えられる、石を円形に配置した環状積石遺構が確認されました。

同遺構は、学術調査として実施され、現地保存された珍しいケースとされています。
発見以降実物を公開していましたが、劣化が進んだことから2004年に整備を実施。
現在は実物を埋め戻して保存し、レプリカで復元しています。
積石の内部から土偶(どぐう)や埋甕(うめがめ)、大珠(たいしゅ)等日常用具以外の遺物が発見されたことから、墓域に利用後、その上にストーンサークルを構築したと考えられています。

長さ11.5㌢(町田市立博物館蔵)
神聖な場所とされたストーンサークルは、方角を意識して築かれたと言われています。
同遺構からは冬至の日没時、丹沢山地の蛭ケ岳(ひるがたけ)山頂部に沈む太陽が見られ、9 ×7㍍の楕円形長軸上には好天時、富士山を望めることも。
見学は無料で随時可能。
近くには〝まっくう〞の愛称で親しまれる、市指定有形文化財の中空土偶頭部が発見された田端東遺跡や多摩ニュータウン№245遺跡もあります。
これらの発掘調査は開発前提で、現在、遺跡は残っていません。
出土品は玉川大学教育博物館や町田市考古資料室等で保管され、考古資料室では〝まっくう〞を見ることができます。
展示や開館状況についてはHP等で事前に確認を。