川越の街を散策しているとき、動物の大きなオブジェを目にしたことはありませんか。
これは発泡スチロール立体アーティスト・ヤジマキミオさん(川越市在住)の作品。
立体アートづくりへの思いを工房で聞きました。

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<<2020年7月15日追記>>

市役所を早期退職、未知のプロの道へ
ヤジマさんの立体アートづくりのきっかけは、浅草サンバカーニバル。
サンバチーム・仲見世バルバロスの一員として、山車「アレゴリア」の制作に携わったことでした。
「1993年に発泡スチロールで牙を作りました。次の年に作ったのは象。鼻や耳も動かせるんですよ。でも大きく作りすぎてしまい、高さ制限ができてしまったほどです」とヤジマさん。
以来、発泡スチロールでの立体アートづくりに魅せられるように。
そんなとき知人からプロの道を薦められ、2009年に川越市役所を54歳で早期退職しました。
「平凡な生活を送るより、何かやりたいことをやったほうが人生楽しいと思って。当時は後先を考えず、でっかい動物を作りたいという気持ちでしたね」とにっこり。
発泡スチロール立体アーティストという未知の世界へ飛び込みました。

初個展を機に川越のまちに作品展示
こうして始まったプロの道。
制作にあたっては図面をもとに、発泡スチロールをニクロム線の熱で溶かしてカット。
ヤジマさんの作品は大きいため、カッティング作業では奥さんのサポートが欠かせません。
彩色は水性絵の具のスプレーを使用。各パーツは専用の接着剤を使用します。

そして、作品が増えてきたころ「個展を開いてみたら」との助言を受け、2010年9月に初個展を開催。
「10個の作品を展示したところ、多くのマスコミに取り上げていただきました」。
以降、川越の観光名所・菓子屋横丁で作品が展示されたほか、各方面から声がかかるように。その中には上野動物園からのカバ制作の依頼もありました。

「実際に動物園を訪れてカバを観察しました。そのときハシビロコウの存在を知り、面白そうだなと制作したら、個人やお店の方から注文をいただきました。出会いは不思議ですね」
多くの出会いから広がる作品づくり
アーティストとして歩み出して11年目。
動物を中心に新幹線や野菜、魚、山車人形、キャラクターなどを制作し、個性あふれる“ヤジマワールド”を展開。
節目ごとの人との出会いが、作品づくりを支えています。

「今、補強に使っているガーゼ網は、本来虫よけのためのもの。知り合いの農家さんが使ってみたらと声をかけてくれたんですよ。いろいろな人とのつながりでここまでくることができました」。
見ているだけで楽しくなるヤジマさんの立体アートたち。
今後の作品づくりが楽しみです。



川越の街で会えるヤジマさんの作品。HP で制作工程も紹介