新型コロナウイルス感染症拡大により飲食店の利用が減っている一方で、「好きな店に行きたいのに行けない」「常連で利用していたお店は大丈夫だろうか」と、心を痛める利用客も大勢います。
そこで大宮駅東口の大宮南銀座商店会(小島敏也会長)は、両者をつなぐデリバリープロジェクト「大宮味めぐり」をスタートしました。

たくさんの人、企業が応援
「大宮の灯を絶やさない!」と、立ち上がった同プロジェクト。
公式ツイッターアカウントは、立ち上げた日に150フォロワーを数え、応援メッセージも次々と寄せられています。
また、協賛金を募ったところ40社を超える企業が協力し、個人や匿名での寄附もあるそうです。

名店のランチを保冷車などで宅配
プロジェクトでは、大宮の名店のランチを午前11時〜午後1時、ディナーを5時〜9時に宅配。
宅配用に専用の保冷車2台、バイク1台、自転車を用意。
それでも間に合わない場合は、地元のタクシー会社・平和観光やレアル運転代行の協力で配達しています。
注文は前日午後6時まで受け付け。
「利用する方が当日予約をお望みなのは承知していますが、食品ロスをなくす、配送車のスケジューリングをスムーズにという視点で決断しました」と同商店会。
始めてからシステムへのクレームはなく、「利用者の温かな気持ちを感じています」と話します。
さいたま市広域に宅配
宅配エリアはさいたま市内(岩槻区全域、南区、桜区、緑区の一部のエリアは対象外)。
大宮区内500円、区外900円の宅配料がかかります。
「お店を守るシステムなので、宅配料はお店からはいただかず、お客様からのみいただき、配送スタッフ、タクシー、運転代行会社にそのまま支払っています」
南銀座で働いている従業員らが配送や電話受付のスタッフとなり、雇用を守ることにもつながっています。
加盟店は南銀座に限らず大宮全体を対象とし、5月21日現在で28店舗。
庶民派の居酒屋から老舗の料亭までと、多彩な顔ぶれです。
「“オール大宮”でひとつに」
「コロナ拡大以降、ラインやSNSで呼びかけ、テイクアウトをしてきましたが、南銀座商店会がプロジェクトとしてやってくれたおかげで、広く知っていただけ助かっています」と話すのは、創業明治14年の老舗懐石料理店・伊勢錦(大宮区高鼻町)の5代目店主・戸辺一郎さん。
「“オール大宮”として、ひとつになれる活動がありがたい」

高級食材に込めた「おもてなし」の心
戸辺さんは、これまで丹精した料理を趣深い店内で提供してきましたが、「料理はテイクアウトの容器でお出しするしかなく、その分材料にこだわっています」
と、トマトの酸味でさっぱりと味わえる人気の「黒毛和牛トマトすき焼き弁当」2,200円をはじめ、車えび3尾、白身魚、多彩な野菜が楽しめる「車海老天丼」「浜名湖直送上鰻重」、数量限定「北海道馬糞使用雲丹丼」など、高級食材を惜しみなく使ったテイクアウト料理に「おもてなし」の心を込めています。

営業にあたり従業員の検温、手洗い、マスク着用などを行い、食中毒にも細心の注意を払っています。
店内でも換気、席の配置にも配慮し、新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策を徹底しているため、テイクアウトメニューを店内でゆっくり食べることもできます。
「結束力が大宮のいい所。みんなと連携し、やれる所までやっていきます。安全な時期が来るまで歯を食いしばってがんばり、お客様をお待ちいたします」と話しています。
大宮味めぐりの注文は電話受け付け。支払いは現金。