耳の聞こえない人への伝達手段のひとつに「手話」がありますが、「要約筆記」という方法があるのをご存じですか。
要約筆記者とは―。
埼玉聴覚障害者情報センターを取材しました。
話の内容を要約その場で文字に
埼玉聴覚障害者情報センターは平成16年4月1日に開所。
「平成2年、身体障害者福祉法改正が行われ聴覚障害者情報提供施設の設置が法律で規定されました。
当センターでは手話通訳者・要約筆記者の派遣、相談事業や字幕入り・手話入りビデオの製作事業などを行っています」と所長の川津雅弘さん。
聴覚障害者のコミュニケーション手段の確保と日常生活の向上、社会参加推進を図るための情報を提供する中で、県から委託を受け開催しているのが「要約筆記者養成講習会」。
難聴者や中途失聴者など、手話を知らない、習う機会がない人たちのために、話の内容を要約し文字で伝える要約筆記者を養成しています。

手書き、パソコン、ノートテイクで情報を保障
要約筆記には手書きとパソコンがあり、手書きは話の内容をその場で文字におこし、OHPやOHCなど機材を使ってスクリーンに映し出します。
話の全てを文字化できないため要約する力が大切で、表示される文字の大きさ、読みやすさも重要。
現場では書く人、内容を補筆する人、書いたフィルムを手で引く人の3人チームで派遣、10分単位で交代しながら作業します。
パソコンでの要約筆記では打った文字を、プロジェクターを使い投影。
話の各パートを4人の筆記者が担当します。
また、紙やノートに情報を書いて伝える「ノートテイク」という方法も。
病院の診察や役所の手続き、面接、買い物など、個別対応時に利用されています。

「講演会のような大きなイベントのほか、日常のさまざまな場面で要約筆記者は必要とされていますが、まだ少ないのが現状。
活躍の場は多方面にあります。ぜひ目指してみませんか」と講習会担当職員。
5月開講「要約筆記者養成講習会」受講者募集
「令和2年度埼玉県要約筆記者養成講習会」を5月20日〜来年1月27日の毎週水曜、埼玉聴覚障害者情報センターで開催。
午前10時〜正午、午後1時〜3時(午前のみの日もあり)、全51回。
手書きとパソコンコースがあり(1人1コースのみ)、定員各20人。受講料無料(教材は実費)。
全講習の規定回数に出席し、修了試験に合格すると修了証書を交付します。
申し込みは4月1日〜22 日。同センターほか、市町村障害福祉担当課・市町村社会福祉協議会などで配布の申込書に必要事項を記入し、同センターへ郵送または持参を。
問い合わせは同センターへ。