【さいたま国際芸術祭2020】遠山昇司さん×浅見俊哉さん対談 ―生活都市さいたまの風景を浮かび上がらせたい

今年3月からさいたま市で開かれるさいたま国際芸術祭2020。芸術祭ディレクター・遠山昇司さんと市民プロジェクトコーディネーター・浅見俊哉さんに思いを伺いました。

今年3月からさいたま市で開かれるさいたま国際芸術祭2020。

芸術祭の会期に先行して、昨年8月から、市民が主体となって参加できる「Sightama Art Center Project」も始動しています。

芸術祭ディレクター・遠山昇司さんと市民プロジェクトコーディネーター・浅見俊哉さんに思いを伺いました。

浅見俊哉さん(左)・遠山昇司さん

遠山昇司
映画監督、プロデューサー。国内外で映画作品を発表し高い評価を得ている。最新作『冬の蝶』は第33回テヘラン国際短編映画祭アジア・コンペティション部門でグランプリ受賞。

浅見俊哉
美術家、写真作家、造形ワークショップデザイナー。カメラを使わない写真作品(フォトグラム)を制作、フォトグラムのワークショップを全国で開催。

芸術祭参加のきっかけ


遠山

前回のさいたまトリエンナーレ2016をお客として観た際、作品からさいたまへの誠実さが感じられてとてもよかったので、公募にエントリーしました。

ロケハンし、風景だけでなく人に会ったりしながらさいたまを理解したいという強い思いで眼差しを向けてきました。

芸術祭を通じてさいたまの新しい風景を浮かびあがらせられたらと思っています。

芸術祭のロゴも、人と人をつなぐ花、花と花をつなぐチョウをデザイン。
街にチョウがあふれ、アーティストと市民をつなぐことをイメージしています。

浅見

ジャンルにとらわれず面白い芸術活動をしている団体・SMF(サイタマミューズフォーラム)の一員として、前回のトリエンナーレに参加したのがきっかけです。

多くの芸術祭が打ち出す「観光+アート」は、さいたまでは通用しないと考えます。

生活都市でアートがどう自分のものになるのか。

日常生活にアートがあることで自分自身や身の回りを再確認することができ、前向きな気持ちを生み出せるのではないか。

それを遠山さんと共有したプランでやらせてもらっています。

テーマは「花/flower」


遠山

花は誰もが自分のイメージで思い浮かべるものがあり、人生にストーリーとして入り込んでいます。

生命の循環、誰かと誰かをつなぐ媒介者、生と性の共存でもある。
花により日常が明るくなるのは、人が花に希望、祈りを託してきたから。

花のいろんな面白い側面に、アーティストもお客様も想像力が広がる。
それで、花をモチーフとしてだけでなくさいたまに必要なテーマとしています。

地域の反応


遠山

ワークショップなどにリピートして来てくれる人たちとパーソナルな部分が共有でき、いいなと感じます。

またさいたまを訪れるうち、アートが地域にではなく、地域がアートに何をもたらすかという問いを導き出しました。

このことを意識しながら、アーティストの皆さんとさいたまを感じて作品やプロジェクトを展開していきたいと考えています。

浅見

参加する人たちが主体で起こることを共有する…8月からのプロジェクトで場の意味と面白さをひしひしと感じています。

遠山

体力が必要ではありますが、中短期的ではなく長い変化に挑戦すべきです。

本芸術祭はある種前回を継承し、長い変化に挑戦しています。

また、アートセンタープロジェクトによって、本芸術祭が始まる前から生まれる何かも非常に重要です。

浅見

長いランのためにどれだけ誠実に作品がつくれるか、困難ですがやっていかないと。

こうした文化事業を参加者も短期的な成果でなく、長い目でとらえてくれると嬉しい。

「100年後、このプロジェクトはどう受け止められるか」も想像してつくっています。

遠山

ストーリーですね。

ニュースというよりは記憶として残る芸術祭を目指しています。

さいたまの魅力


遠山

さいたま市を流れる芝川越しに見える新都心のビル群の風景は、都市と自然が近くて面白い。

また、さいたまはひとつに例えられないグラデーションのまちでもあります。
ディスりも許容できる、ある種寛容性もあります。

浅見

自分が美しい、面白いと思ったものを共有(プレゼント)する芸術は大きな“おせっかい”といえます。

それぞれがそれを楽しんでいるのがさいたま。

花というテーマで多層的なアーティストが集まったのはさいたまという土地からもらった設定です。

それは願いとその土地の英知の継承です。

「自分たちの“おせっかい”をあなたと一緒に楽しみたい」という誠実な態度を皆が共有できたらいいなと考えています。

芸術祭で残るもの


遠山

一過性の花火も必要ですが、長く変化し、何が残せるかが重要。

作品だけでなくコミュニティなどが残っていくことが大事です。
これに基づき3回目もやろうと思える。

また、必要とされる芸術祭とは何かあえて考えており、それでしか能動的継続にはなりません。

よかった、もう1回観たい、生活の中で必要。

そうなるといい。
時に緊張状態も生まれる日常の中で緩和としての祭は地域に必要です。

浅見

日常の「ケ」の日があって、祭りがあるのが、生活都市の芸術祭。

ライフスタイルにアートを取り入れ、いろんなレイヤーがあるから祭が爆発するんですね。

さいたま国際芸術祭2020-Art Sightama-
2020年3月14日〜5月17日
旧大宮区役所、旧大宮図書館他市内各所で開催
旧大宮区役所の前売り券1,000円、当日券1,200円。高校生以下無料(障害者および介助者1人までについても無料)。
旧大宮図書館無料。
電話/048-829-1225

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