昭和からの新元号発表時に掲げられた「平成」の文字。
その書を揮毫した、川越市在住の書家・河東蜂城(かとうほうじょう)さんの書展が川越で開催されています(入館無料)。

書家・河東さんの川越での初個展
河東さんの地元での個展は今回初。
その会場となる「氷川神社 旭舎文庫(あさひのやぶんこ)」は、昭和から平成にかけて子どもたちに親しまれていた駄菓子店の閉鎖に伴い川越氷川神社が3カ年かけて修復し、2年前に開館。
郷土文化への愛着を深める場として活用しています。

「書家として長く活動していますが、このような素晴らしい場での書展は初めてです」。
そう話す河東さんは今年春に氷川神社の社号を揮毫、扁額が「二の鳥居」に掲げられています。
「川越の地で何百年もの時を経て、自分の仕事が残っていくことをありがたく思います」。
山田禎久宮司も「令和の御代替わりに、神社に新たな扁額を掲げることができ、河東先生に感謝しています。
そして、旭舎文庫での河東先生の書展を通じて、文化、郷土などさまざまなつながりも生まれるのではないでしょうか」と話します。
空間を最大限に生かした展示、伝統産業とのつながりも
こうして紡がれた縁をきっかけに、開かれている今回の書展。
江戸末期から明治初期に建てられたと推察される木造2階建ての建物に、平成元年から令和元年までの旧作、新作12点が展示されています。

展示に当たっては、空間を最大限に生かすよう工夫されているほか、「書に親しみを持ってほしい」という河東さんの思いから、作品の内容と意味を記した解説書を作成。
建物が醸し出す空気感と作品が一体となり、より深く書の世界に入り込むことができます。
さらに、東秩父村の手漉き和紙・細川紙や掛け軸の背景に川越唐桟を使用するなど、地域の伝統技術との“つながり”を大切にした作品も目を引きます。

「書道を学んでいる中高校生など、若い方にもぜひ足を運んでほしいですね」と河東さん。
時代を超えて受け継がれてきた築150年の建物で、次世代への思いが込められた書の世界を堪能しませんか。
会期は令和2年1月30日まで。