童謡『たきび』の作詞者 巽聖歌 晩年の地・日野市旭が丘で北風が吹く中、垣根の先にあるたき火を心待ちにする様子が印象的な童謡『たきび』。
作詞者の巽聖歌(たつみせいか)が、晩年を過ごした日野市旭が丘では、毎年12 月にたきび祭(さい)が行われています。
同氏の功績を広めるのと同時に、文学者ゆかりの地として文化活動を発表する祭典で、旭が丘商工連合会が主催。
第14 回となる今年は、6日に前夜祭、7日に本祭が行われます。

詩碑がある街・旭が丘発車メロディーにも
巽聖歌は、1905年岩手県紫波郡(現紫波町)生まれ。
童話や童謡が掲載された雑誌『赤い鳥』に影響を受け、創作を開始。
20歳で投稿した童謡『水口』を北原白秋が絶賛し、文学者として台頭しました。童謡『たきび』は、1941年に現NHKのラジオ番組からの依頼で作成。
当時住んでいた中野区上高田の風景がモデルと言われています。

戦後、疎開先から現日野市旭が丘に移住。
1973年、68歳で亡くなるまでの25年間、活動の拠点になっていました。
1999年、自宅の取り壊しを受け、同氏を偲ぶ有志が『たきび』の詩碑を旭が丘中央公園に建立。
2005年には、遺稿など貴重な資料を所蔵する日野市郷土資料館が、『生誕百年記念展』を開催し話題となりました。
さらに2010年には、地元の要望を受け、JR豊田駅の発車メロディーに『たきび』が採用され、地元でもすっかりなじみのある存在となっています。
前夜祭で文学的に学び本祭で文化活動を発表
「たきび祭は、“巽聖歌を旭が丘の顔に”と、2006年から開催。
前夜祭は巽氏について学ぶ機会に、本祭は文化活動の発表の場として、文化が薫る祭典を目指しています」と話すのは、運営統括を担う田中三雄さん。

今年の前夜祭は、初期の文学活動を紹介。
数少ない童話作の中でも、処女作『山羊と善兵衛の死』(1923年)を朗読。
「18歳で雑誌に投稿した作品。原稿が残っておらず内容不明でしたが、今年9月に大阪府立中央図書館国際児童文学館で複写を入手。初めてお披露目します」と日野市郷土資料館の北村澄江さんは話します。
本祭は、地元で活躍する団体や小・中学校の有志が、合唱や合奏、踊りなどの活動を発表。

昨年春に建て替えた旭が丘地区センターのテラスを舞台に祭典を盛り上げます。
「商工連からキッチンカーなど模擬店も多数出店。昔遊びが楽しめる子ども広場や焼き芋のプレゼントも。
ぜひ、開会式で点火した〝たき火〞にもあたって、温まっていってください」と田中さん。
第14回たきび祭
[前夜祭]
12月6日(金)午後3時~5時半
旭が丘地区センター ※事前申込不要
住所/東京都日野市旭が丘5-1-1 旭が丘中央公園内
[本祭]
12月7日(土)午前9時半~午後3時
旭が丘中央公園
小雨決行、荒天中止
問い合わせ:たきび祭実行委員会