昨年11月に埼玉県で結成された、日本初の認定動物看護師による災害支援団体「動物支援ナース」。
埼玉県災害ボランティア団体ネットワーク「彩の国会議」認定団体として、行政、獣医師をはじめとする医療関係者等と連携しながら熱心に活動しています。

挙げられない声を拾う
「私たちは、ペットのためにあるわけではありません。人とペットが共生する中で、困らないために存在します」と代表の西村裕子さん。

災害発生時に妊娠中である、障害がある、アレルギーがある…といった、声を挙げられない人の声を拾い、適切な機関につなぐことや、補助犬の支援等により、人も動物も支援することを活動の目的にしています。
避難所等で起こりがちなペットに関するトラブルも「飼い主もペットに関わらない人も歩み寄ることが必要です。
そこで獣医療に携わる人間として、偏らずに話せる私たちの存在を活用していただけるのでは」と西村さん。
このため「飼い主をはじめさまざまな人の考えを知り、学び成長したい」と、地域とのかかわりを求めて各地のイベントに積極的に参加しています。

また、西村さんは講演する機会も多く、「備えの必要性を感じるが、何をしたらよいかわからない」といった飼い主の質問を受けることも。
「一番大事なのは飼い主が命を守る行動をし、安全にペット同行避難を行うこと。
避難=避難所ではなく、避難場所の選択肢をたくさん持つこと。
その次に大事なのはリードだったり、療法食だったり…と、その家、そのペットに合った備えを行ってくだされば」と、個別に丁寧に答えています。

災害時の人材養成プログラムに携わる
千葉科学大学動物危機管理教育研究センターの研究員でもある西村さん。
現職あるいは離職中の認定動物看護師を対象に災害時に動物救護のための獣医療を支援できる人材を養成する、文部科学省認可の「災害時獣医療支援人材養成プログラム」作成にも携わっています。
昨年第一期生が修了し、「動物支援ナース」の6人のメンバーは全員が修了生。

現在は第二期生のプログラムが始まっています。
「社会や地域のニーズに合っているか等、今後もプログラムを精査しなければ。そして学問として確立しなければ。課題は山積みです」と熱く語っています。
活動を全国に広げたい
室内飼いが増え、より家族の一員として位置づけられていくペットたち。
今年成立した愛玩動物看護師法により、動物看護師は5年後に国家資格になります。
「その時プログラムの一期生、二期生が指導役になり動物支援ナースの活動が全国に広がれば。夢は大きく持ちたいです」と笑顔で話しています。
活動の詳細はフェイスブックに。