日野産の農産物と温かい心で作る オンリーワンの給食を

「全国学校給食甲子園」。
聞きなれない言葉かもしれませんが、毎年、女子栄養大学で地場産物を活かした給食を競うコンクールが開かれています。
全国1701校の応募校の中から数次にわたる予選を勝ち抜き、決勝戦で優秀賞を受賞した、日野第一小学校(東京都日野市日野本町)を訪ねました。
60分で調理し、片付ける緊張の真剣勝負
「給食甲子園」決勝戦に出場できるのは、全国で12校のみ。
栄養士と調理員のペアによる実技が審査されます。
「当日は、1時間で6人分の給食を作り、片付けまでを競います。緊張しましたが、出場は夢でしたし、やりがいがありました。
大会に向けて、毎日の給食を作り終えた後、調理員の金丸さんと決勝戦の献立を作り、毎日2回給食を作り続けた日々を思い出します」と栄養士の瀬川久美子さん。
優勝は逃したものの、味のバランスが優れている点が評価され優秀賞を受賞しました。
味の違いのわかる大人になってほしいから
同校の給食の準備が始まるのは、毎朝午前7時15分。5人の調理員で約460食を作ります。

温かいものは温かく、冷たいものは冷たく出したい。そのためには、ちょうどいいタイミングで作り終えなければいけません。
「例えば、コロッケを作る時、届いたジャガイモの大小によって、皮むき、ゆでる、つぶす時間も変わってきます。
他の献立との兼ね合いを図りながら、即座に対応し、段取りなどを決めていきます」。
また手作りにこだわり、カレールーやドレッシングも一から作ります。
「手間も時間も掛かりますが、優しい味付けは、一口でわかります。
今回の受賞献立でも、日野産のトマトの甘さを生かすために、しょうゆだけで煮込みました。
大人になった時に、素材を味わえるようになってほしい。
調理員さんをはじめ、日野市や給食に関わる大人たちの、子供たちに対する温かい心が、給食を作り出しているのです」と瀬川さん。
給食から学ぶこと大切な食育の時間
「近頃の子供たちは、自分の言葉で伝えることが少し苦手なのではないでしょうか? 給食の食器を割ってしまった時などは、申し訳ないという気持ちを伝える練習ができる、機会の一つだと思います」。
食器の並べ方や箸の持ち方も細かく指導するという瀬川さん。
「大人になった時、マナーを守れなかったり、自分の意思を伝えられなくて困ってほしくないから」。
子供たちの待ち遠しい給食は、マナーやコミュニケーション、そして本物の味覚を育むための、大切な食育の時間でもあります。

給食甲子園の決勝戦の献立
・黒米ごはん
・なんちゃってロールキャベツ
・ごまあえ
・かきたま汁
・牛乳