19世紀のイギリス、産業革命がもたらした大量生産・大量消費の時代に、職人の技や手仕事に美しさを見出したウィリアム・モリス。
デザイナーとして、彼が手掛けた美しい書物の数々が、明星大学の明星ギャラリーで展示されています。(入場無料)

ウィリアム・モリス(1834-1896年)は、19世紀のイギリスで活躍したデザイナー。
産業革命によって急速に工業化が進んだ当時のイギリスは、大量生産された粗悪な日用品で溢れ、機械化により職人の手作業や熟練の技が失われていきました。
モリスは、そんな時代を憂い、中世の手工業こそ理想とし、生活の中に芸術品を取り入れることを提唱。壁紙やテキスタイルなどのインテリア品に上質な装飾を施し、世に輩出。
後に「モダンデザインの父」と称され、世界の装飾芸術に影響を与えた人物です。
晩年、力を入れたのが芸術品としての本の出版。
私財を投じて印刷所を設立し、文字や挿絵、余白、装丁など細部にわたり美しさを求めたこだわりの書物を、53書目66巻出版しました。
明星大学では、そのうちの65巻を所蔵。貴重書コレクション展として、2019年12月21日まで3期に分けて所蔵しているすべての貴重書を展示します。
世界三大美書『チョーサー著作集』を展示
中でも目を見張るのが、世界三大美書の一つの『チョーサー著作集』。

その細やかな木版技術は息をのむほど美しく、当時の職人の技を身近に感じることができます。
モリスが出版した本は、手引き印刷機を使って印刷したのが特徴。当時使用されていたものと同型の活版印刷機『アルビオン』(ミズノプリテック株式会社所蔵)も展示しており、見どころの一つです。

展示解説でさらに深く来場者プレゼントも
展示エリアは、壁紙やBGMもモリスに縁のあるもので統一。
オリジナルビデオ解説は一気にモリスの世界へと引き込まれます。予約をして学芸員による展示解説を受けると、さらに知識が深まります。
来場者には『チョーサー著作集』より引用した文字が特徴のしおりやブックカバーをプレゼント。

スタンプラリーも実施しており、3期分のスタンプを集めると記念品も。
「お散歩マップもご用意しています。コレクション展でモリスの世界に浸った後は、ぜひ緑に囲まれたキャンパスや学食を楽しんでいってください」と図書館事務室。