盆栽の聖地として、世界から数多くの愛好家が訪れる大宮盆栽村。
この地に近接して世界で初の公立の盆栽美術館として開館し、情報を発信しているのが「さいたま市大宮盆栽美術館」です。
風雅な和の趣を感じさせる同館では、屋内外で約70点もの芸術性の高い盆栽をゆったりと鑑賞したり、盆栽に関する知識をじっくりと深めたりできます。
入り口では、季節に合わせ見頃を迎えた盆栽がお出迎え。
いつ訪れても新鮮な季節感に包まれます。

飾り方に込められたおもてなしの心
床の間や座敷といった限られた空間を隅々まで意識した盆栽飾りを「席飾り」といい、館内展示では趣の異なる五席を堪能できます。
例えば盆栽をのせる台『卓(しょく)』との取り合わせや小さな草もの盆栽の配置等により作られた一席は、限られた空間を越えて広い自然の風景を想像させます。

また、「真」「行」「草」と格の異なる3席の座敷飾りも。
格調高い床の間に威厳のある盆栽が飾られる「真」の間から、侘び寂びの雰囲気が漂う「草」の間まで、趣の違いに驚かされます。
「空間の中に深いおもてなしの心を感じていただければ」と同館。
この他、屋内では盆栽の種類、見方といった基本から、繊細な職人技や特色ある盆栽村の歴史等をわかりやすく解説したパネル展示もあり、「盆栽は初めてという方にも親しんでいただければ」と話しています。
屋外庭園では常時60点の名品を一堂に
屋外庭園では、常時60鉢の名品をぜいたくに展示。
たとえば推定樹齢350年の五葉松「青龍」は、枯れて白くなった枝「ジン(神)」と同じく枯れて白くなった幹「シャリ(舎利)」が見どころ。

山もみじ「紅陵(こうりょう)」は、紅葉の時季に赤に染まる姿が人気。
早稲田大学の創設者・大隈重信が愛蔵していたと伝えられる大きな黒松、推定樹齢1000年の蝦夷松「轟(とどろき)」、総高1.6㍍、横幅1.8㍍を超え同館コレクション中で最大級の五葉松「千代の松」もあり、その迫力に圧倒されます。
「大盆栽まつり」の時期にイベント盛りだくさん
5月3日~5日に行われる「大盆栽まつり」の時期に無料のゴールデンウィークイベントも。
各日小学生の盆栽展示や盆美カフェ(午後4時まで)があるほか、午前11時、午後1時半、3時から特別ギャラリーツアー(各回20人程度)。
2時から3時半に盆栽技術者による特別盆栽実技(先着順、入場自由)。
詳細は同館へ。