「人形のまち」さいたま市岩槻区の老舗人形店・東玉総本店(岩槻駅東口前)4階で、「『変わり雛(びな)』に観(み)る平成時代~時代を記録した『変わり雛』で平成を振り返る~」が、3月10日まで開催中です。

公募で集められた、その年の大きな話題をモチーフに製作する変わり雛。
平成30年間で作られた192点のうち100点が展示されています。
「最初は職人たちの手遊びでしたが、博物館事業として職人たちの技術向上の機会にと位置付けました。

変わり雛の製作は、ひな人形、五月人形を中心に作るグループ工房で1978(昭和53)年から始まりました。
関わった作家・職人は6人。
また、話題を一般公募にしたことから、人形職人や社員が社会の出来事や時代の変化に関心を持つようになりましたね」と、東玉会長の戸塚隆さんは振り返ります。
平成の30年間に起こったさまざまな出来事が、変わり雛のモチーフになっています。
「皇太子殿下と雅子さまのご成婚やご出産など、明るい話題での人形作りは心弾む作業です。

しかしながら災害の多かった平成時代には、悲しい出来事が人々の関心事1位になることもありました。
その際には、できる限り明るく、希望を持てるような人形創りを心掛けました」と戸塚さん。

変わり雛のタイトルに、その年の流行語などが駄洒落で使われているのも、楽しめるポイント。

平成時代に活躍したスポーツ選手や芸能人なども「おひなさま」になっていたり、子どもたちに人気のキャラクターもあって、家族みんなで楽しめる展示会です。

当時の世相を反映している変わり雛展は、平成の時代の貴重な記録。
見る人それぞれ、その当時の自分のさまざまな思い出もよみがえり、30年を振り返る絶好の機会といえそうです。