小さな店内は、福祉作業所で焼いたクッキーや魅力的なアート雑貨が詰まった宝箱。
埼玉県立小児医療センター2階にある「おかし屋マーブル」は、診療が終わり“ごほうび”を探しに来る子どもやママ・パパの笑顔でいっぱいです。

NPO法人クッキープロジェクト
運営しているのは、NPO法人クッキープロジェクト。
代表理事の若尾明子さんは当初、仲間と設立していた別のNPOの活動の一環で、2007年からクッキープロジェクトをスタートしました。

作業所のクッキーには味や包装がいまひとつの物があることを感じていた若尾さんは、「プレゼントしたくなるクッキー」をコンセプトに、ホテルのシェフやデザイナーの協力を得て勉強会を開き、商品開発に力を入れました。
すると「味が格段によくなり、もっと届けたくなりました」と振り返ります。
2008年に浦和のコルソでクッキーの販売会を開くと飛ぶように売れ、それから勉強する、販売会をする…のサイクルで「がんばると売れる」を積み重ねてきました。
勉強会には作業所の職員以外の人にも参加してもらい、多彩な視点を活かせる場にしました。
初の常設店「おかし屋マーブル」をオープン
2010年に当初のNPOから独立し、任意団体クッキープロジェクトを設立。
2016年にNPO法人化し、2017年に小児医療センターの公募により、初の常設店「おかし屋マーブル」をオープン。
店内には勉強会で味も包装も磨きをかけた約40種類のクッキーが所せましと並び、小さいかごを手に子どもたちが自分で選べるようにしています。
コンテストで優勝したクッキーもあり味は“お墨付き”です。


診療をがんばったごほうびに
小児医療センターには高度医療を必要とする子どもが通院、入院しており、「診察をがんばったごほうびにおいしいものを食べてもらいたい」と若尾さん。
「100円玉を握りしめてくる子もいるので」と、価格も買いやすいよう設定しています。
また、「お菓子と一緒にプレゼントできるように」と、障がい者が作ったかわいい雑貨や、くすっと笑えるアート雑貨にも出会えます。

かわいいお菓子が描いてある「オカシナトランプ」。
ぼやきパフォーマーを名乗る障がい者による小冊子「生きるための名言集」等。

一番人気はキラキラしたビーズ等を使ったヘアゴム。
手作りでいろんなサイズがありますが、子どもの髪の量もさまざま。
かえって評判がいいそうです。

販売に携わるのは地域の主婦やボランティアのほか、障がい者が加わることも。
「障がいのある人もない人も“まぜこぜ”に」と若尾さん。
クッキープロジェクトでは、デコレーションしたスリッパで卓球する「デコッパ卓球」等ユニークなイベントも開催。