「日野の自然を守る会」は、前身となる「多摩平の緑を守る会」を1966年に発足したことから始まります。
それからおよそ50年以上、日野市全域にわたって観察、調査、保護などを継続しています。

変化してきたチョウの生態
今回は活動の一つ「昆虫」の中の「チョウの生息」について、昆虫担当の森川正昭さんに話を伺いました。

「日野市は多摩丘陵、日野台地、段丘、多摩川、浅川、その沖積地と地形の変化に恵まれた地域です。
雑木林や河川敷が多く、それぞれ違った環境には、その環境に適した植物や昆虫が生息できる自然が整っています。
そのため昆虫の種類も多く、特にチョウを見ても72種類記録しています。
東京都全体で140種類記録されていますから、半分ほどが日野市に生息していることになります」

この半世紀の間に、環境の変化もあり市内のチョウの種類も変化してきたと話す森川さん。
「1960年代に見られたチョウで、現在は見られなくなったシルビアシジミ、クロシジミ、ミヤマシジミ、ツマグロキチョウ、アサマイチモンジなどは市内で絶滅してしまったチョウたちです。
その反面、2000年代に入って増えているチョウもいます。
ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、クロコノマチョウ、ムラサキツバメ、アカボシゴマダラ、コムラサキ、ウスバシロチョウなどです。

これらのチョウは温暖化により北上してきた亜熱帯性のチョウ、ガーデニングブームなど暮らし方の変化により増えてきたチョウ、外国から人為的に持ち込まれたチョウ、高尾山など山地から分布を広げてきたチョウたちです」

いまも昆虫採集に夢中
森川さんは小学生の頃から昆虫が大好きで、お兄さんと一緒に昆虫採集にいそしんでいたそうです。
喜々として話すその姿は、昆虫少年の頃のまま今も昆虫たちと向き合っています。

今回は紹介できなかったホタル、ウスバカゲロウ、カブトムシ、タマムシなどの仲間について、またその生態について知りたい人は同会へ。
昆虫たちにとって、冬ごもりの時期になりますが、観察会は年に10回ほど行っており次回は来春の予定です。