深まる秋。
かつて農家では稲刈りの後のわらはとても大事にされてきました。
縄を編んだり、草履にしたり、正月のしめ飾り作りも農閑期の大事な仕事でした。
そんな先人の知恵と技を伝え、わら細工を楽しむ人たちがいます。
手仕事のぬくもり~わら細工の魅力

2010年から八王子市でわら細工の会・円座を主催する伊藤文子さんが、わら細工に出合ったのは郷土資料館での体験講座でした。
講師である農家の人が簡単にできる作業が、うまくできない、でも面白いと感じた伊藤さんはその後、他の講座にも参加。
作り続けるうち、自分たちで「わら細工の会・円座」を立ち上げることになりました。
9年目の現在、会員は35人。八王子市外の人もいます。
しめ飾りへ込められた意味
「しめ飾りには八百万の神への祈りが込められています。形や結び方によって豊作や長寿、夫婦円満など、その意味も異なります」
基本型はあっても、作る人が自由に創作できるところが面白いと話す伊藤さん。
地方色にもあふれ、会員が旅先で買ってきたしめ飾りを手本に作ることもあるそうです。

材料のわらの一部は会員の耕す田から提供されています。
春の田植えに始まり、草取り、稲刈りなどには有志の会員が参加。
青い稲を早めに刈り取ることもありますが、待ち遠しいのはやはり実りの秋。
わらは「すぐる」という作業できれいに整え、保管しています。
縁起物で飾り付け
南天、ゆずり葉、扇、ダイダイなど意味を持つもので飾りつけるとめでたく、華やかになります。

後ろは縁起物の面やモチーフを挿したにぎやかな作品。
また、しめ縄の土台はアレンジ次第でクリスマスリースとしても使え、長く楽しめます。
しめ飾りは12月28日までに飾り、松の内が過ぎたらどんど焼きや神社のおたき上げに納めましょう。

わら細工体験会〈12月1・5・15日〉
12月1日と15日にクリエイトホール(八王子市東町)、12月5日に長房ふれあい館(長房町)でしめ飾り作りを開催します。
いずれも時間は午後1時〜4時半頃。
体験料1500円(材料費込み)。
はさみ、持ち帰り用の袋を持参、ズボン着用で。
申し込みは伊藤さんまで。